逃亡作法(東山彰良・宝島社文庫)

第1回「このミス」大賞＆読者賞ダブル受賞作、と帯に書いてあるので買ってみた。裏表紙には「近未来の刑務所を駆けずり回る脱走活劇」と書いてある。話自体はそんなに悪くないとは思う。が、なんかしっくりこないのは何故だろうと考えてみると、話の展開が全く予想できないことが大きいのじゃないかと思う。普通の小説はある一点に向かって収束するような話が多い。言い換えれば読者に展開をある程度予想させて上で話を進めていくということだ。でも、この小説は先が想像しにくい。そもそも「刑務所から脱走した」ところで先に何か希望があるのかと考えると基本的には何も無い、と思う。私の想像力が貧困と言われればそうなのかもしれないけども。で、それが私にとっては読んでいて居心地が悪いような気がするんじゃないかな、と。

私はこの小説は人には薦めない。ハードボイルドっぽいのが好きでどうしても読みたいって人がいれば止めないけどって感じ。

もうひとつ、宝島社の文庫は他の会社のそれよりやや高さが高い。トリビアとしては面白いかもしれないがこれは早急にどうにかしてほしいと思う。